10/18、京都芸術センターにて、明倫ワークショップが開催されました。
私たちピエールとリュースの稽古は、京都芸術センターの制作室という場所を利用させていただいています。そうして、その制作室でいったいどんなことをしているのか、ということを広く皆様に紹介するというのが、この明倫ワークショップです。
今回、私たちはロマン・ロランのピエールとリュースを公演するにあたって、京都で60年以上の活動を続けている、一般財団法人ロマン・ロラン研究所から、宮本ヱイ子さんをお招きし、ロランの文学、思想、人物像など、様々なお話をいただく機会を頂戴しました。
宮本さん自身がアトリエ劇研の館長である波多野先生と旧知の仲というご縁があって、このような機会に恵まれたわけですが、今日と明日は二日にわたって、今回の明倫ワークショップでのお話をここで書いていこうと思います。
写真は、ご登壇いただいた宮本ヱイ子さんから、ロマン・ロランについてを話していただいているところ。
写真正面の赤い後ろ姿はピエール役の八木さん、その右隣はリュース役の柳沢さん。左側で立ってお話しされているのが宮本さんで、その横には演出のあごうさんも座っています。
八木さん、あごうさんは宮本さんのお話に耳を傾け、柳沢さんは研究所からお持ちいただいた貴重な資料に夢中になっています。
こののち、あごうさんから今回の公演のプランについて皆様にお話をされ、そのことについてはまた明日の記事で書こうと思っているのですが、この派手な格好の八木さんがピエール役であることに、宮本さんをはじめ、研究所からいらしてくださった皆様もひどく驚いておりました。
小説に書かれるピエールのイメージは細くすらりとした凛としたイメージ、少なくとも文学として描かれた言葉から読み取れるものとは離れた佇まいを八木さんは持っています。
あごうさんから皆さんに説明されたのは、
「オーディションで美男子な人もたくさん来たのだけれど、八木君の弛緩した雰囲気にかけてみた」
のだそうです。
あごうさんからのその説明を受け、皆さん納得しながら、私たちの賭けを許してくれたようでしたし、そのことに皆さんがどんなふうに思うのか、初めは不安もあったのですが、そこで宮本さんからお話をいただいたのは、ロラン自身、矛盾だらけの人だった、ということでした。
戦争や平和について語るとき、ロランは情熱的で、平和のために自分の言葉で戦おうとしたのにもかかわらず、理知的で、人間の理性を信じ、人間の精神を信じながら、一目ぼれをして愛に生きた情熱的な一面、音楽や演劇などの芸術を愛し、教師になるほど学業にも励めた知性の人。
音楽を愛したピアニストであり、ハムレットが大好きだった劇作家であり、そして平和を愛した情熱的な文学者であったロランは確かに、多くの矛盾を抱えた人だったのかもしれません。
ただ、ピアニストでも文学者でも学校の先生でもない私たちが、ロランが見たまま同じように、ロランとまったく同じように何かを考えることはできません。日本でいま、ピエールとリュースを上演するためには、私たちはロランの目を借りながら、全く新しいピエールとリュースを作ろうとしています。
宮本さんや研究所の皆さんが、私たちが作ろうとしている新しいピエールとリュースを、新しいピエール像を楽しみにしてくださったようでした。ただそれは、ごく当たり前のピエールとリュースにはならないかもしれない、ということでもあります。
ロランはすべてを許してくれる、と帰り際に宮本さんが口にされました。
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