2014年10月25日土曜日

10/24 リュース/タリー


ロマンロラン研究所の方から聞いたお話です。

今回の 「ピエールとリュース」 のヒロインであるリュースにはモデルがいます。

サリーという名前の女性、フランス語の呼び名ではタリーとなります。


タリーはアメリカ人の女優で、どこか神秘主義的な思想を持っていて、そういったタリーの事をロランは 「ちょっといかれた」 と証言していたらしいです。


タリーは決して知的な女性ではなく、どちらかと言えば狂信的な面を持つ、ある種の奔放さを携えた方だったそうですが、それに有り余る女性的な魅力があったそうです。

ただ、タリーは当時まだ20代、そしてロランはその時すでに50代に差し掛かろうとする年代だったそうで、二人は互いに愛情を持って、長い年月、文通をしていたそうなのですが、それはあくまで友人として、結ばれることのない関係を続けていたそうです。


今回の 「ピエールとリュース」 は、ロラン自身が、タリーにささげた、と公言しています。
物語的にも、決してむすばれることのない、幸せな結末を迎えることが困難であることを互いに自覚しながら、それでも〈二人はしばらくお互いを見つめあ〉い、そうして、あのあまりにも有名なガラス越しのキスをする、そんなシーンを昨日の稽古の最後に取り掛かりました。



勿論、また逢う日まで、の映画を知ってる世代の人なら知っている、そして、そんな映画もロマンロランも知らない人にしてみたら、あまりにもベタなシーンだと思ってしまうだろうその有名なワンシーンについて、あごうさんから出演者の皆さんにこんなお話がされました。

「シーンをそのままやってしまえば、ある程度の盛り上りはあるにしても、一瞬で終わってしまうし、しかも、あまりにも有名なこのシーンを今あらためてやることに、何かしらの含意がなければならない」

正確な書きおこしではないですが、概ねこのようなことをあごうさんは話していました。
もちろん、そのシーンは、というよりも、ある意味ではそのシーンこそがピエールとリュースであり、また逢う日までそのもので、映画の中では大々的にクローズアップされているものの、実は、これを演劇でやろうとすると、ほんの一瞬の短い時間で終わってしまいます。

ロランを知る人や、また逢う日までを見ていた世代の皆さんにとって、ただ懐かしいだけで済ませたくはないし、それを知らない若い人たちにとって、昔っぽいなんとなくクサくて綺麗っぽいだけのシーンで済ませることのないという思いから、ガラス越しのキス、というそんな一瞬のために稽古場の時間は使われていきます。

たった一瞬のシーンのために、稽古場では何度も同じことを繰り返し、その繰り返しの中で、少しずつ演劇が出来上がっていく過程について、ロランが好きだったベートーベンが楽譜を何度も何度も書き直し、そのためベートーベンの楽譜はものすごく汚かった、というような逸話がありますが、あごうさんをはじめ、出演者のみなさんの台本も、どんどん書き込みが増えて読みづらいものになっていました。

ロランはピエールとリュースをタリーに捧げましたが、アトリエ劇研で上演するピエールとリュースは、観客席に座る皆さんのために、今日も稽古を続けています。

予約も段々と増えてきています、まだの皆さんもお早めに、劇研までお問い合わせ下さい。
皆さんのご来場お待ちしています。






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