10/15 稽古6日目
今日はピエールの兄・フィリップ役の田中遊さんの登場シーンを中心にした稽古となりました。
兄のフィリップは、若い二人とはある意味真逆の世界を生きている人です。
原作でフィリップは、既に一下士官として前線の第一線で戦っているところを、一時的にパリの本部に戻され、そのさなかに自宅に戻り、ピエールと会います。
従軍することが決まってはいるが、まだどこか遠い世界のことのように戦争を語るピエールと、すでに軍人であるフィリップは、経験値がまるで違います。戦争を現実に知っているからこそ複雑な心境を抱えるフィリップと、無邪気な正義をかざすピエールの一対一でのやりとりは、終盤の一つの見どころです。
何度かシーンを通したあと、演出家から「もし自分が戦争に行くことになったら、単純に、どうする?」という問が役者陣に投げかけられました。この日、稽古場にいたメンバーの年齢は二十代前半から三十代後半までですが、その答えは人によってかなりの隔たりがありました。
「人は殺せない」という実感を持つ人、逆に「単純な反戦運動に疑問を呈さないこと自体がおかしい」という実感を持つ人。しかし、いずれもその理由は納得のできるものです。いざそうなったときに、どうするのか。日常を、いかにも日常らしく送ることに一生懸命な私達は、普段そのことを考えないように、あるいはふと考えてもなるべくすぐ忘れてしまうようにしてしまいます。しかし、それは私達のすぐそばにいつも存在しているものなのかもしれません。
ピエールとリュースの物語をご覧になるお客さまにも、観たあと心にふと喚起されるものがあればと願っております。

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